ベーシストのためのエトセトラ

ベーシストのために色んな楽曲を理論的に分析したりしています。

5弦ベースのLowB問題

5弦ベースを所有している方はみなさん「LowBの鳴り」問題で一度は悩んだことがあるかと思います。

個人的な意見ですがしっかりとテンションが稼げればこの”鳴り”問題は解決すると思っています。

 

 

まずは以下のサイトを御覧ください。最近ではかなり使用者も多いElixir社のニッケル弦のサイトです。

エレクトリックベース ニッケル NANOWEBコーティング | Elixir® Strings

下の方にドラッグすると「テンション一覧」というタブが開けます。

 

私個人のイメージですが5弦使用者ですとこの中で「Light,Long Scale」のゲージを使っている方が多いかと思います。その場合ですと

1弦 ゲージ .045 テンション 43ポンド
2弦 ゲージ .065    テンション 51ポンド
3弦 ゲージ .085    テンション 48ポンド
4弦 ゲージ .105    テンション 40ポンド
5弦 ゲージ .130    テンション 34ポンド

となります。

5弦が一番テンションが低いです。実際弾いてみると5弦だけゆるゆるで音もぼわぼわーっとした感じがします。これは弦のメーカーを変えても基本的に一緒です。

 

このように通常のスケール(34インチ)に一般的なゲージ(.125or.130)の弦を貼るだけですと5弦のテンションが稼げません。なので何かしてやらないといけません。

今のゲージのままテンションを稼ぎたいなら弦高を上げてブリッジのサドルを下げることくらいかと思いますがこれで稼げるテンションは少ないです。裏通しも同じく多少の効果しかないです。(それで十分なベースももちろんあると思います)

 

しっかりとテンションを稼ごうと思うと

・ベースのスケールを変える

・弦のゲージ、もしくは種類を変える

この2択になってきます。

 

まず「ベースのスケールを変える」についてですが例えば34インチから35インチにした場合、弦のテンションは全体的に上がります。
そうなるとそもそもテンションが十分な1,2弦のテンションがキツくなります。

上で貼ったElixir社のサイトに4弦36インチで使用した場合のテンションも記載されてますので参考に。(36インチのベースってあまりないですが。。。)

1弦 ゲージ .045 テンション 48ポンド
2弦 ゲージ .065    テンション 58ポンド
3弦 ゲージ .085    テンション 54ポンド
4弦 ゲージ .105    テンション 45ポンド

これを解決するために1,2弦だけゲージを下げるというのも手ですね。

 

最近ですとマルチスケール(ファンドフレットが使われてるやつ)のベースも出てきましたね。有名なDingwall社のベースなどいくつか弾いてみましたがテンションに関してはかなり満足感が高いです。どの弦を弾いていても同じテンション感が得られます。

問題はファンドフレットに慣れるための練習が必要という点ですね。

 

次に「弦のゲージ、もしくは種類を変える」についてです。ゲージを変えることについてはわかりやすいですね。5弦のゲージを太くすればいいです。

例えばElixir社だと.135まで販売していますがテンションは36ポンド、2ポンドしか稼げません。実際使ってみましたが微々たる差でした。

他に国内で簡単に入手できそうなものだとD'Addario社が.145を出しています。

D'addario/エレキ弦 EXL145【ダダリオ】【メール便OK】

 

海外ですとKalium社が最高.266ゲージまで出してたりします。超多弦用ですね。

https://kaliummusic.com/shop/strings/

 

実際どのくらいまでゲージを太くすれば十分なテンションが稼げるかわかりませんが恐らく5弦だけ太くなりすぎてプレイに影響が出そうです。

 

あとは弦の種類によってもテンションが変わります。通常はニッケル弦を皆さん使っていると思われますがフラットワウンド弦にするとテンションがグッと上がります。

Elixir社はフラットワウンド弦を出していないのでD'Addario社の製品で比較したいと思います。小数点は四捨五入してあります。

http://www.daddario.com/DADProductDetail.Page?ActiveID=3769&productid=192&productname=ECB81_5SL_Chromes_Bass_5_String__Light__45_132__Super_Long_Scale

1弦 ゲージ .045 テンション 60ポンド
2弦 ゲージ .065    テンション 66ポンド
3弦 ゲージ .080    テンション 53ポンド
4弦 ゲージ .100    テンション 45ポンド
5弦 ゲージ .132    テンション 43ポンド

 

Elixir社のニッケル弦と比べると一気にテンションが上がりますね。

このままですと1~4弦のテンションが高すぎる気がするので別ゲージも載せておきます。

http://www.daddario.com/DADProductDetail.Page?ActiveID=3769&productid=163&productname=ECB80SL_Chromes_Bass__Light__40_95__Super_Long_Scale

1弦 ゲージ .040 テンション 42ポンド
2弦 ゲージ .060    テンション 52ポンド
3弦 ゲージ .075    テンション 48ポンド
4弦 ゲージ .095    テンション 41ポンド

このゲージに先程の.132の5弦を足すと、最初に載せたElixir社のニッケル弦と1~4弦はほぼ同じテンションで5弦だけかなりテンションを稼げますね。実際使ってみましたがかなり満足感は高いです。

ただ弦の種類が変わると音も変わりますのでそこが問題点ですね。

www.youtube.com

"Fly Me To The Moon"でソロを弾くための分析

本日は"Fly Me To The Moon"です。

 

一番有名なのはFrank Sinatraバージョンでしょうか。日本ではエヴァンゲリオンのEDとかでも有名ですよね。

www.youtube.com

こちらがコード進行です↓キーはC

f:id:basskaiseki:20190521025841p:plain

 

ではコード進行を見ていきましょう。ダイアトニックコードについては使えるスケールだけ記載します。また、同じコードは省略してあります。

1小節目 Ⅵm7

マイナースケールが使えます。

2小節目 Ⅱm7

ドリアンスケールが使えます。

3小節目 Ⅴ7

ドミナント7thですのでミクソリディアン、オルタード系のスケールが使えます。

4小節目 ⅠM7

メジャースケールが使えます。

 

5小節目 ⅣM7

リディアンスケールが使えます。

6小節目 Ⅶm7b5

ロクリアンスケールが使えます。

7小節目 Ⅲ7

前後の小節を含めて平行調であるAmの2-5-1を作るためのドミナント7thです。よく出てくるやつですね。一番合うのはハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ(HMP5B)、オルタードも使えます。

 

12小節目 Ⅲm7

フリジアンスケールが使えます。

 

27小節目 Ⅲm7b5

この次の次の小節まで含めて見るとDマイナーキーに部分転調して2-5-1を作っていることがわかります。となるとここはマイナーキーのⅡm7b5なのでロクリアンが使えるとわかりますね。

28小節目 Ⅵ7

前述の通り次はDマイナーキーにおけるⅤ7にあたるのでミクソリディアンやオルタード系のスケールが使えます。

 

29小節目 Ⅱm7

ここはDマイナーキーのⅠm7と見てマイナースケールを使うか、Cメジャーキーに戻っていると考えてⅡm7で使えるドリアンを使うかの2択となります。

 

f:id:basskaiseki:20190521032147p:plain

 

お手本ソロの紹介(楽器関係なく音使いなどの参考になるものを挙げています)

youtu.be1:25くらいからベースソロです。短いソロですがフレージングが素晴らしいなと思わされるソロです。

"All of Me"でソロを弾くための分析

本日は"All of Me"です。

 

色んな方が歌っているので今回はFrank Sinatraのバージョンを貼っておきます。

www.youtube.com

コードはこんな感じです。キーはC

f:id:basskaiseki:20190513131748p:plain

 

ではコード進行を見ていきましょう。

1小節目 CM7

1度メジャーセブンス。メジャースケールが使えます。

3小節目 E7

3度セブンス。定番のⅥmに対するセカンダリドミナントです。もっと言うと次のコードもⅥ7でセカンダリドミナントなのでダブルドミナントと呼びます。Ⅲ7にはハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ(HMP5B)やオルタードが使えます。

 

5小節目 A7

6度セブンス。前述した通り次のⅡm7へのセカンダリドミナント。ミクソリディアンやオルタード系スケールが使えます。

7小節目 Dm7

2度マイナーセブンス。ドリアンスケールが使えます。

 

11小節目 Am7

6度マイナーセブンス。マイナースケールが使えます。

 

13~16小節目 D7 Dm7 G7

ここの部分のⅡ7-Ⅱm7-Ⅴ7というコード進行は色々な曲で見られます。まずD7(Ⅱ7)はⅤ7に対するセカンダリドミナントです。ミクソリディアン、オルタード系、更にはリディアン7thスケールも使えます。

Dm7(Ⅱm7)はⅤ7に対する2-5を作るために出てきたものですね。ドリアン・スケールが使えます。

G7(Ⅴ7)ではミクソリディアン、オルタード系スケールが使えます。

 

25小節目 FM7

4度メジャーセブンス。リディアンスケールが使えます。

26小節目 Fm7

同主調であるCマイナーキーのⅣm7からの借用和音です。ドリアンスケールや、Cメジャーキーからあまり転調した感じを出したくなければメロディックマイナーも使えます。

27小節目 Em7

3度マイナーセブンス。フリジアンスケールが使えます。

 

31小節目 Ebdim7

C Dmを繋ぐ役割をしてます。ここの3コードを追ってみると半音進行してる音が見つかると思います。ディミニッシュスケールがもちろん使えますが、無視してC-Dm-G7と解釈して弾いても問題ありません(そう弾く人の方が多いかと思います)。

 

慣れない内はCメジャースケールやAマイナーペンタトニック一発でも大丈夫です。

f:id:basskaiseki:20190513135222p:plain

 

お手本ソロの紹介(楽器関係なく音使いなどの参考になるものを挙げています)

youtu.be1:15くらいからギターソロ。そのあともSaxソロも含めてお手本のようなソロです。

"Feel Like Makin' Love"でソロを弾くための分析

本日は"Feel Like Makin' Love"です。

原曲はこちら↓

www.youtube.comコードはこんな感じです。キーはEb

f:id:basskaiseki:20190510154748p:plain

 

ではコード進行を見ていきましょう。

1小節目 Fm7

2度マイナーセブンス。ドリアンスケールが使えます。

2小節目 Bb7sus4

5度セブンスサスフォー。ドミナントコードですが3度の音がないのでトライトーンの緊張感が少し薄れた進行になります。通常の7thと同様ミクソリディアン、オルタード、ハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ(HMP5B)などが使えます。

3小節目 EbM7

1度メジャーセブンス。メジャースケールが使えます。

4小節目 Db7

フラット7度のセブンス。3度セブンスであるG7の代理コードです。リディアン7thスケール(Gをルートにするとオルタードスケール)やミクソリディアンスケールが使えます。

C7

6度セブンス。次に来るFm7に対するセカンダリドミナントですね。HMP5Bやオルタードスケールが使えます。

 

8小節目 A7#11

フラット5度のセブンス。次に来るAbM7に対するセカンダリドミナントであるEb7の代理コードと考えるのが良いでしょうか。リディアン7thスケールが使えます。

 

9小節目 AbM7

4度メジャーセブンス。リディアンスケールが使えます。

10小節目 Gm7

3度マイナーセブンス。フリジアンスケールが使えます。

12小節目 Cm7

6度マイナーセブンス。マイナースケールが使えます。

 

17小節目 F7

2度セブンス。次の次に来るBb7(5度セブンス)へのセカンダリドミナントです。ジャズなどでよくあるⅡ7-Ⅱm7-Ⅴ7という進行ですね。ここはリディアン7thスケールが使えます。

 

f:id:basskaiseki:20190510165514p:plain

 

もちろん慣れない内はEbメジャースケールやCマイナーペンタトニック一発でも大丈夫です。

 

お手本ソロの紹介も。(楽器関係なく音使いなどの参考になるものを挙げています)

youtu.be1:55くらいからPianoソロ。メジャースケールを主とした音使いのキレイなソロです。

youtu.be6:30くらいからSaxソロ。色んなスケールを使ったバラエティー豊かなソロです。

"What's Going On"でソロを弾くための分析

今日は"What's Going On"です。

原曲はこちら↓

www.youtube.com

ソロを弾くのはだいたいサビの後のセクションが多いと思います。以下がコード進行です。

f:id:basskaiseki:20190508112627p:plain

 

ではコード進行を見ていきましょう。キーはGです。

 

1~4小節目 Am9

2度マイナーナインス(m7コードに9thの音を足したものです)なのでEマイナーペンタやAドリアンスケールが使えますね。ただここはずーっとワンコードなので一つのスケールだと物足りなく感じる人もいると思います。

その場合よくあるのが自分でコード進行を想定してソロを弾くってやつです。例えば3小節目にD7、4小節目にGを想定したフレーズを弾いて勝手に2-5-1にしちゃうとか。

このアイデアですと例えばD7(V7)想定でDオルタードやハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ(HMP5B)などが使えます。

例としてこちらの動画の6:44から鍵盤ソロが始まります↓

youtu.beソロ中7:20くらいからDのHMP5Bのフレーズを弾いたりしてます。

5~8小節目 F#m9/B

Eキーに転調するので再び2度マイナーナインスです。Am9をループして最後にこの4小節でソロが終わるという流れなので、終わりを予感させるようなフレーズ選びをすると良いと思います。

 

お手本ソロの紹介も。(楽器関係なく音使いなどの参考になるものを挙げています)

youtu.be1:50くらいからギターソロ。ドリアンやマイナーペンタを中心としたソロです。

youtu.be7:05くらいから本田雅人氏のSaxソロ。色々なスケールを使ったバラエティーに富んだソロです。

"Just the Two of Us"でソロを弾くための分析

本日はJust the Two of Usでベースソロを弾くための分析をしていこうと思います。

参考までに曲を↓

www.youtube.com

まずはソロ部分のコード進行、こんな感じです。

f:id:basskaiseki:20190506113419p:plain

 

ここから簡単にコードを分析をするとこんな感じ、キーはAbです。

f:id:basskaiseki:20190506114433p:plain

 

ではひとつひとつコードを見ていきましょう。

1小節目 DbM7

4度メジャーセブンスなのでリディアンスケールが使えます。

C7

よくある3度セブンス。平行調(Fm)のドミナント7thを借りてきた、もしくは次のFm7に対するセカンダリドミナント、とも取れますね。オルタードスケール、ハーモニックマイナーP5Bスケールが使えます。

2小節目 Fm7

6度マイナーセブンスなのでマイナースケールでいけます。

Ebm7 Ab7

この次のDbM7まで含めて見ると下属調(Db)の2-5-1になってますね。なのでここはDbキーに部分転調してると考えてEbm7ではドリアンスケール、Ab7ではミクソリディアンやオルタードなどを使いましょう。

 

基本的にあとは繰り返しです。以下にまとめておきます。慣れない内はFマイナーペンタトニックもしくはAbキー一発で乗り切りましょう!

f:id:basskaiseki:20190506122921p:plain

 

 

お手本となるソロの紹介もしておきます。(楽器関係なく音使いなどの参考になるものを挙げています)

youtu.be2分くらいからが歌のソロです。Abキー一発でほとんど完結しています。難しいスケールを使わなくても十分良いソロができるっていう例だと思います。

youtu.be

5分くらいからSaxのソロです。メロディックかつオルタードスケールなどもところどころ使用したソロの例です。